プラントベースフードって何?

2021年10月6日の日経MJに、肉や乳製品を植物由来の素材で代替する「プラントベースフード」を使ったメニューが飲食店で広がりを見せている記事が掲載されていました。しかし筆者は「プラントベースフードって健康に良いよね」と漠然とした知識しかありません・・・。そこで「プラントベースフード」について改めて調べてみることにしました。

ブランドベースフードとは?

プラントベースフードとは、野菜や果物、ナッツ類、豆類、植物油などの植物由来の原料からなる食品そのものや、それらを取り入れた食生活のことを指します。

では、プラントベースとビーガンの違いは何かというと、ビーガンは完全に植物性食品のみの食事形式ですが、プラントベースフードは、植物性を積極的にとりいれていこうというもので、動物性食品を食べることを否定はしていません。

なぜ、プラントベースの食事が注目されているかというと、一つに健康志向の高まりがあります。野菜はカロテンやビタミン、食物繊維などが豊富であり、また大豆製品からは低脂質で高たんぱく質を摂ることができることから、ダイエッターや健康を気をつけている人から注目されています。

健康志向だけでなく、世界的な人口拡大に伴う食糧危機の問題視から、牛肉や豚肉、鶏肉に変わるたんぱく源として期待されているのが大豆などから作る植物肉です。SDGsの観点からもプラントベースフードは注目されており、今後も市場は拡大すると期待されています。

飲食店でプラントベースの導入が増えている

健康志向やSDGsへの関心の高まりから、飲食店でもプラントベースのメニューの導入が増えてきています。

いくつか事例を紹介しましょう。

ハンバーガー業界

モスバーガー

2015年にいちはやく「ソイモス野菜バーガー」の販売を開始しています。そして2020年5月には、主要原材料に動物性食材を使わない野菜と穀物を主原料に作る「グリーンバーガー(テリヤキ)」を販売開始しました。バンズはほうれん草ピューレーを練り込んだ、ほんのり甘い野菜風味で、パティは大豆由来の原料をベースとしたものをつかっています。ソースのグリーンマヨは卵を使用せず、枝豆を使用。栄養成分は、カロリーは340kcalで、たんぱく質11g、脂質13.7g、炭水化物43.5g、食物繊維3.2gと、通常のバーガーよりもヘルシーながら、たんぱく質も食物繊維もしっかり摂ることができます。価格は580円です。

マクドナルド

2020年11月に、ハンバーガーやチキンを植物由来の肉を使った「マックプラント(McPlant)」を販売していくと発表しました。2021年にはスウェーデンでのテスト販売も行われています。日本での販売はまだです。

バーガーキング

2020年12月に大豆由来の100%植物性パティを使った「プラントベースワッパー(Plant-Based Whopper)」を販売しました。価格は540円です。特徴は、直火焼きすることで植物性パティながら、本格バーガーらしいスモーキーな味わいに仕上げています。

ロッテリア

2019年5月にロッテリアオリジナルの「ソイパティ」を使用した「ソイ野菜ハンバーガー」を販売開始しました。特徴は、「ソイパティ」をふっくら膨らませて、粒状に仕上げた大豆を使用することで、肉に近い食感を再現している点です。また玉ねぎやクミン、ナツメグ、がリック、バジル、ホワイトペッパー、タイムなどの香辛料を加えることで、香り豊かな本格的な味わいに仕上がっています。

カフェ業界

ドトールコーヒー

2020年9月に「全粒粉サンド 大豆ミート~和風トマトのソース~」を発売しました。全粒粉を使ったオリジナルのパンに植物性由来の大豆ミートを使ったバーガーです。物足りなさを感じさせないために、れんこんやゴボウを使ったきんぴらで食感をプラスし、あらごしトマトやトマトピューレーを使った和風トマトのソースには、椎茸の出汁を使うなどして旨味を加えています。

タリーズコーヒー

2021年1月よりプラントベースフードの販売を開始しており、9月に販売した「野菜仕立てのラザニアプレート」は、ほうれん草・枝豆の野菜に、豆乳で作ったペシャメル風ソースと大豆ミートを使用したトマトソースのダブルソース、さらにペンネを加えた一皿に仕上げています。

ハンバーガー業界とカフェ業界のプラントベースメニューを調べると、大豆ミートをいかに美味しく食べてもらえるか、また物足りなさを感じさせないための工夫がされていることがわかりますね。

主要な代替肉メーカーを紹介

大豆ミート等の植物肉の開発はアメリカが進んでいます。そして2020年ごろから、日本の食品メーカーもその市場に進出し始めました。主要な代替肉のメーカーについて紹介します。

海外の主要な代替肉メーカー

米ビヨンドミート

米ビヨンド・ミートは代替え肉の世界大手です。2019年に植物肉の専業として初めて米ナスダック市場に上場しています。2021年には、マクドナルドと提携を発表しており、植物由来の代替肉を使ったハンバーガー「マックプラント」向けの代替え肉を供給することを発表しました。

米インポッシブルフーズ

2011年創設で、現在はIPOに向けて協議を進めているようです。スーパーなどへ人口肉バーガーやソーセージを販売している他、バーガーキングやディズニーなどともパートナシップを結んでいます。

ベジタリアンブッチャー

ユニリーバの傘下で、オランダ生まれの企業です。オランダで世界初のフェークミート専門店をオープンしており、日本・池袋にもお店があります。

国内の主要な代替肉メーカー

大塚食品

2018年11月に大豆ミートで作る「ゼロミート ハンバーグ」を販売開始しています。そして2020年3月に業務用製品の販売も開始しました。業務用の「ゼロミートハンバーグ」は、お肉のような食感はそのままに、より口の中でほぐれやすい、やわらかさが特徴です。2021年9月には、「ゼロミート ハンバーグ生タイプ業務用」を販売しており、よりジューシー感が増しました。デニーズでも採用されています。

日本ハム

食肉国内最大手の日本ハムは2020年3月に植物肉の市場に参入しました。大豆を主原料としたハムやソーセージ風の商品を販売しています。ブランド名は「ナチュミート」です。現在8アイテムを販売しています。

ネクストミート

2020年6月に設立された代替肉のスタートアップ企業です。一人一台の無煙ロースターで焼肉を楽しめる「焼肉ライク」に代替え肉を提供しています。大豆を用いた焼肉用の代替肉で、焼肉ライクでは「NEXTカルビ」「NEXTハラミ」のメニュー名で販売しています。

まとめ

主要メーカーや外食企業の「プラントベース」の活用を調べると、代替肉の販売は2019年ごろから活発に展開していることが分かりました。これまでビーガン向けのレストランはターゲットが少ないことや、一般的に植物性食材に対して「物足りない」「美味しくなさそう」というイメージがあり、成功している飲食店は一握りという現状でした。

しかし、「プラントベース」は今後、健康志向やSDGsへの注目が高まるほど、「プラントベース」の食生活や食材も求められるようになるのではないでしょうか。