飲食店閉店時にかかるお金と、損をしない閉店をするには

テンポスグループには、毎年、買取依頼を年間2万件頂いています。特にこの2020年はコロナによる閉店に伴う買取依頼が増加しました。その際によくご質問を受けるのが、居抜き売却やスケルトン工事、その他諸々の閉店手続きや費用にについてです。このページでは閉店する時にかかる流れや費用についてお伝えします。

飲食店を閉店する時の流れ

飲食店を閉店する時、居抜き物件として売却できるかによって、閉店時にかかるお金が大きく変わってきます。詳細は後ほどお伝えしますが、閉店をする時はまず賃貸借契約を確認しましょう。

  1. 居抜き物件売却を行う不動産業者に売却を相談・依頼する
  2. 各金融機関に借入金について相談する
  3. 不動産管理会社へ解約予告
  4. 従業員への解雇通知
  5. 取引先への連絡
  6. リース品の精算やレンタル品の返却
  7. スケルトン工事もしくは、居抜き物件売却契約
  8. 賃貸契約の解約
  9. 電気水道ガスの解約
  10. 行政機関への廃業届けでや手続き

賃貸借契約の確認ポイント

解約予告期間の確認

解約予告期間とは、賃貸借契約の解約を大家に通知してから立ち退くまでの期間をさします。1ヶ月後に店を閉め営業を中止したとしても、解約予告期間が6ヶ月の場合、6ヶ月間家賃を払い続けなければなりません。一般的に、店舗物件の解約予告期間は3ヶ月から6ヶ月のものが多いです。

敷金(保証金)の償却について

物件契約時に大家に預けた敷金がいくら償却され手元に戻ってくるか、返還されるタイミングはいつか確認しましょう。返還は数ヶ月を要することもありますので、すぐに戻ってくることを想定して資金計算しないように注意しましょう。

原状回復義務の有無

閉店する時に大きな負担になるのが、原状回復工事です。原状回復工事とは、店舗を借りる前の状態に戻す工事です。床や壁、ダクト設備等の内装や設備が無い状態、建物の躯体のみの状態まで戻すことを「スケルトン工事」とも言います。

注意点

賃貸契約を解約する時にトラブルになりやすいのが、この原状回復です。居抜き物件で借りた場合、「前の状態に戻す」とはどのような状態のことを指すのか、大家にしっかりと確認しましょう。閉店時に、借りる前の状態とは違う原状回復を要求されトラブルに発展するケースが多いです。

居抜き物件として売却するメリット

飲食店を閉店する時に、居抜き売却できるかにより、閉店時に負担する金額が大きく変わってきます。

もし、居抜き売却を検討している飲食店オーナーさんは、できるだけ早く居抜き物件を扱う専門の不動産会社に相談をしましょう。解約予告をする前に、水面下で次の借り手を見つけることも可能です。

原状回復工事代金が必要ない

居抜き物件として次の借り手に引き渡すことができれば、原状回復工事の費用がかからなくなります。一般的に、原状回復工事には1坪あたり数万円から10万円ほどかかるため、20坪の飲食店なら安くて30万円から200万円ほどの工事代金になってしまうのです。この負担がなくなるのは大きいですね。

造作譲渡代金の売却金額が入る

店内の内装や設備を「造作」といい、居抜き売却を売却する時に、それらの造作を新しい借り手に引き渡すことを「造作譲渡」といいます。造作譲渡することによる売却金額が入ってきます。この造作譲渡代金は100万から500万円まで、現オーナーが決めることができます。ただし、なかなか次の借りてが現れない場合、この造作譲渡代金を減額し、再募集するなど、必ずしも希望の金額で売却できるとは限りません。契約時に、造作譲渡代金の減額を要求されることも多々あります。

造作が古くても高く売れる居抜き物件

内装や設備が古くても、造作譲渡代金が1000万円で売却が決まる例もあります。これは、造作に対する価値ではなく、物件の”立地”に対する価値として、支払う借り手がいるからです。例えば、40年営業をしてきた店を閉店することになったとき。昔と比べて、店がある場所が人気エリアとなっていたら、何としてでもその場所に出店したいという企業はたくさんいます。そんな時、造作譲渡代金の買取金額の提示額が上がり、最終的に、一番高く買ってくれる企業に決まる場合もあります。このあたりは、担当する不動産屋の力量しだいというところでしょうか。

閉店にかかるお金

飲食店を閉店する時にかかる費用は、【居抜き物件売却】【原状回復戻し】のどちらかにより大きく異なります。

現状回復工事して閉店する時にかかるお金

現像回復工事して閉店する時にかかる費用は、居酒屋30坪規模なら、原状回復工事だけで、ざっと150万円。これに保証戻りがあったり、上手く厨房機器が売却できれば、その収入が入ります。相殺すると約100万円ほどの費用が掛かる計算です。

【概要】都内 居酒屋 30坪 家賃50万円 保証金500万円 解約予告期間6ヶ月

支払い家賃(解約予告期間6ヵ月分)―300万円(50万×6ヶ月)
 原状回復工事(スケルトン戻し)―150万円(30坪×5万円)
 保証金償却―100万円(保証金20%)
収入保証金戻り+400万円(保証金80%)
 厨房機器売却+50万円
合計 ―100万円

物件を解約する時は、解約の6カ月前に大家に伝えなければなりません。(契約条件によっては3カ月前などもあります)

経営不振で今すぐ店を閉めたくても、営業はしなくても家賃は必ず払わなければならないのです。原状回復工事は、飲食店なら坪当たり数万円から10万円ほどかかります。重設備の飲食店などは特にお金がかかってしまいます。

居抜き物件売却した時の閉店にかかるお金

一方で、居抜き物件で売却できた場合の、閉店にかかった費用を見てみましょう。解約予告前に、次の借り手を見つけることができれば、通常、解約予告から撤退までにかかる家賃半年分を浮かすことができます。

造作をそのまま次の借りてに譲渡するため、原状回復工事費用もかかりません。上手くいけば造作譲渡を200万円で売却できた!なんてことにもなりいます。下記の表を見て頂くと、居抜売却することで、費用が掛かるどころか、手元に資金を残すことも出来るのです。

【概要】都内 居酒屋 30坪 家賃50万円 保証金500万円 解約予告期間6ヶ月

支払い家賃(解約予告期間6ヵ月分)0円
 原状回復工事(スケルトン戻し)0円
 保証金償却―100万円(保証金20%)
収入保証金戻り+400万円(保証金80%)
 造作譲渡代+200万円
合計 +500万円

ただ、さっきから筆者が「上手くいけば造作譲渡を売却できる」など、かなりあやふやな表現をしていると思いますが、そうなんです。居抜き物件の売却は、スピードやタイミングが大事ですし、ただ募集を出せば思い通りの金額で売却できるというものではありません。今はコロナで新店オープンする飲食店様もかなり慎重になっています。初期投資はできるだけ減らしたいのです。募集が集まらなければ、造作譲渡は下げざるをえません。

人気立地であれば、すぐに借り手は見つかるでしょう。その立地の物件を手に入れたいために、数社が募集の造作譲渡よりも高い金額で物件を申し込む場合もあるほどですから。700万円の造作譲渡で買って、契約後に全部原状回復工事をして、新しい店舗を作る、そんな飲食店オーナーさんもいらっしゃいます。

ただ、そんな特殊は話をしてもしかたありませんね。居抜売却をお考えの場合はできるだけ早く動くことが大事です。そして、信頼のおける不動産担当と出会えるかも重要になってきます。居抜き物件は情報が表にでることなく契約が決まることが多いのは、その不動産担当の人脈で決めるということが多いからです。

閉店にかかる費用をマイナス150万にするか+500万円にするか

いかがでしたでしょうか。

閉店する時に、通常の原状回復工事をして閉店する場合100万円の費用がかかり、うまく居抜売却をして閉店できれば、500万円の資金を手元に残すことができます。

居抜売却をするには、できるだけ早い段階から動くことが大切です。

テンポスでは、閉店する飲食店さんが損をしないように、できるだけサポートしたいと考えています。

居抜売却をご検討でしたら、一度ご相談ください。

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