2021年10月3日の日経MJで、JR東日本が全自動でロボットがコーヒーを入れる「無人カフェ」の実証実験を12月に東京駅と横浜駅で始めると報道していました。シンガポールのスタートアプ企業が開発した「ロボバリスタ」を使用するとのことです。
今、飲食業界では配膳ロボットを導入する企業が増えています。そこで、飲食店の配膳ロボット事情について調べてみました。
ピーク時だけの出勤は難しい
飲食店では、従業員1人当たりの1時間の生産性「人時生産性」を高めるために、スタッフのトレーニングを行い、少ない人数で売り上げを増やす努力をします。しかし、人時生産性を指標とした場合、ピーク時2時間だけ必要なスタッフ人数と、ピーク後に必要なスタッフの人数は異なりますが、忙しいピークの2時間だけ出勤してもらうというのは、スタッフの生活を考えると難しいところです。そんなピーク時だけスタッフのシフトをあつくしたいと思った時に配膳ロボットが活躍します。配膳ロボットを1人の従業員と見立てることで、より効率的な経営ができるようになります。
業務用ロボット市場は拡大傾向
矢野経済研究所の調べによると、業務用ロボットは搬送ロボット、清掃ロボット、パワーアシストスーツ(介護用など)、レジロボット、検査・点検ロボット、警備ロボットなど6つのタイプがあり、それらの市場規模は2018年度で55億、2022年度には129億と2倍以上伸びると予想されています。また、この市場を牽引するのは、製品価格が高い搬送ロボットと、低価格で出荷量が多いパワーアシストスーツと考えられています。このことから、飲食業界でも配膳ロボットは今後増えて行くことが予想されます。
配膳ロボットは何してくれるの?
従業員がトレイに料理を置き、配膳するテーブルをタッチパネルで選ぶと指定のテーブルに料理を運びます。お客様は料理を受け取ったらタッチパネルを押すと、指定の場所に戻ってきます。複数のテーブルを経由することも可能です。障害物を検知し移動することができます。
お客様を席に案内することもできます。来店時にお客様を迎え、テーブル席に案内します。簡単な会話も可能です。
主要な配膳ロボット
外食業界でよく使われている配膳ロボットは下記3つです。
Servi(サービィ)
ソフトバンクロボティクスが販売する、外食企業を中心に150ブランド以上で導入されている国内トップシェアを誇る配膳・運搬ロボットです。3段トレイで最大30kgまで積載が可能。最小60cmの幅も通過できます。サイズは幅462mm、奥行き486mm、高さ1,046mm。料金は3年レンタルで月額99,800円。買取プランは570万円(保証・サービス5年分含む)です。
BellaBot(ベラボット)
50カ国以上で1万5千台以上の販売実績を持つ中国製の配膳ロボットです。4段トレイ構造で総積載量は最大40kg。ネコ型ロボットの可愛らしい見た目とAI機能搭載でお客とのコミュニケーションが好評です。サイズは幅565mm、奥行き537mm、高さ1,290mm。
KettyBot(ケティボット)
配膳・下膳機能に加えて、広告ディスプレイが付いているため、季節商品を紹介することができます。3層構造のトレイで1段あたり10kgの積載が可能。サイズは幅460mm、奥行き440mm、高さ1,120mm。
配膳ロボットのSNSの反応
配膳ロボットは無機質でお客様の印象を悪くしそう、といった心配の声もあがっています。実際、お客様はどのように感じているのでしょうか。SNSの声を紹介します。
【good!!】カフェで自動配膳ロボットが実用化されているのを初めて見た。従業員の動きを避けて自律で動いてて、しかもすごい静かだから気にならないな。すごいなぁ(2021/10/3)
【bad】配膳ロボットくんがさりげなく働いていてドジっ子なのか席を間違えたり、すべての配膳をすることなくよく分からない子でした(2021/9/27)
【good!!】配膳ロボットがけなげに働いていました(2021/9/26)
【good!!】先日、配膳ロボットがいてめっちゃ可愛かった~(2021/9/30)
【good!!】ロボットがラーメンを運んできたら「ありがとう」って頭下げているお客さんがいたよ(2021/9/29)
【good!!】配膳ロボットが国産から中国製に変わっている。多段になり配膳できる量が激増し、走行音も機械的でなく軽快。さらに会話できる(2021/9/30)
【good!!】語尾がニャーの猫型配膳ロボットで俄然やる気がでてきた(2021/9/24)
【bad】自律配膳ロボットを見に行ったが、移動スペースが無くて本来の機能を果たせていなかったw(2021/9/25)
【good!!】配膳ロボットがいた!「帰りにお土産を買ってね」とかちゃっかりしてますw (2021/10/1)
良い反応としては、ロボットが走行している様子を見て、動作やちょっとしたAIの会話を通して、ロボットに親しみを感じる人が多いことです。「かわいい」「けなげ」「つい頭をなでてしまった」などの声がありました。飲食店が心配する「無機質なロボットの対応」は、心配する必要はないのかもしれません。また、ロボットの走行音も気にならないという声も多かったです。お客様の食事を邪魔せず、配膳・下膳をこなしてくれるということですね。
悪い反応としては、「配膳先を間違えている」「お客さんの通路を邪魔している」「移動スペースが無くて本来の機能が果たせていない」などです。ここは飲食店側のオペレーションの改善で解決できるところですね。
まとめ
配膳ロボットについて調べてみて、導入に向いている飲食店さんは、①席数が多い、②通路がゆったりしている、③お客様の店内での行き来が少ない業態、④ピークの客数が一気に増える業態、だなと感じました。
大手メーカーでは配膳ロボットの導入を考慮した店づくり(内装工事)をした業態をオープンする店も出てきました。人手不足問題を解決できる手段として、配膳ロボットも一つの手段として考えるのもありなのではないでしょうか。