飲食店を閉店した経営者に聞いた、失敗したこと、後悔していること

2021年2月28日の日経新聞朝刊によると、上場する主要外食企業100社は、コロナで閉店を加速させており、集計すると、その数なんと2700店舗の閉店が決定しているといいます。もちろん、閉店の波は個人飲食店にもきており、中古厨房を買取しているテンポスにも、個人飲食店さんからの閉店相談は後をたちません。

この記事では、閉店に伴い厨房機器を手放すアジア料理店の経営者Aさんに聞いた、これまでの経営の中で、「後悔していること」「失敗したな」と思うことを紹介します。これから飲食店を開業するオーナーさんの少しでもお役に立てればと取材を引き受けてくれました。

閉店理由①|物件選びで失敗した

飲食店向けの物件探しは競争が激しい

飲食店の生命線ともいわれるほど大事なのが「物件選び」です。しかし、“良い物件”を手に入ることは容易ではありません。なぜなら、ここ数年は居抜き物件が当たり前となり、情報が公開される前に、当事者同士で次の借り手が決まることもあれば、情報が公開されたとしても、1物件に対して何十件も申し込みが入るなど、競争が激しいからです。

そんな中、今回取材に協力してくれたアジア料理店の経営者Aさん(男)は、東京のある主要駅から徒歩5分の物件を借りました。一本路地に入った場所でしたが、駅から近いこと、またインバウンドの外国人客の来店が見込めることから物件を契約したのです。

看板工事で大家とトラブルに

無事に契約が済み内装工事へ。2階でしたが、建物の外観に大きく看板を取り付けることができることから、早速看板工事を始めました。そんな時、大家から携帯に連絡がはいりました。何の用だろうと思い電話にでると、「看板の工事をストップして」とのこと。

何か勘違いをされているんじゃないか、最初は丁寧に説明しましたが、話を聞いてくれず、だんだんと口論に。看板の取り付けを許可した覚えはないというのです。今回の契約は、仲介業者が入っていたことから、一度、業者に確認することになりました。仲介業者も「看板は契約に入っていたから心配しないで」と言ってくれ安心したといいます。

しかし、その後、仲介業者から大家さんに何度も話をしましたが、結局は大家さんと、もめにもめることになります。しかもその物件、2階が今回借りた物件で、5階が大家さんの自宅なのです。

大家さんは1日に何度も2階に来ては文句を言われるため、オーナーさんは相当まいってしまいました。オープンまで時間もない、このままでは今の努力とお金が無駄になってしまうと、結局は、大家の指定する範囲で看板を付けることになったのです。

今回、仲介してくれた不動産屋は一般住宅の仲介をメインに行っている会社で、この件では非常に頼りなく、悔しい気持ちでいっぱいだったといいます。

飲食店専門の不動産仲介会社を選ぼう

物件を契約するときは、看板工事はどこまで許されているのか、また契約内容をきちんと確認しておくべきだったと後悔したといいます。これから物件を契約する方は、飲食物件の契約経験が豊富な不動産会社に相談すると良いでしょう。

閉店理由②|販売促進を人任せにして失敗した

販促・集客は何からすればいいのか分からなかった

2つ目の失敗は、販売促進を人任せにしてしまったことです。販促は飲食店に欠かせないものですが、その販促の種類の数やたるや。何から始めていいか分からない人も多いでしょう。

今回取材したオーナーさんもそうでした。「どのプランが自分の店にあっているのか?」「どれくらい効果があがるのか?」「クーポンの内容をどうすればいいか」、ほぼ店をワンオペで運営する自分には、そんなことを考えている暇はなかったといいます。

そんな時、広告会社に勤めていた知人が販促を手伝ってくれることになりました。「ありがたいな」と思い、WEB集客だけでなく、店舗に置くメニューや、店前に置く置き型看板のデザインも任せすることにしました。数日後、「Aさん、看板できましたよ!」と持ってきてくれた看板を見てモヤっとしたといいます。「いや、良い感じだけど、なんか違うな」と。

デザインの「Zの法則」

一般的に、デザインは「Zの法則」でデザインをすると良いといわれています。人の目線は、左から右へ、そして左斜めに降りていくことから、一番アピールしたいメニューは、左上に書くと良いという考え方です。

しかし、知人が持ってきた置き型看板の左上のメニューは、「アジア風らーめん」でした。一番売りのメニューである「グリーンカレー」は下の方に書かれています。しかし、せっかく作ってくれたのに断るのは悪いと、その看板を置くことにしました。

結果はというと、その後も売上はパッとせず、その状態が1年続いた時に、コロナで経営が立ち行かなくなり、今回閉店するに至りました。

販促・集客を人任せにして後悔した

「販促は自分が苦手だからと避けて、人任せにしていたので後悔しています。ワンオペで大変だったことを言い訳に逃げていたんですよね。完全に失敗です。この看板を見てくださいよ。これじゃ、ただの中華屋か、らーめん屋ですよ。私の店は、ビーガン対応のメニューも出していたし、看板メニューのグリーンカレーは、前日から仕込みをして提供するほど力を入れていました。でも、グリーンカレーは、ささやかにしか売れませんでした。私は厨房にこもって、良い商品をだせば、いつかは繁盛する。そう信じていたんです。でもそれが間違いだったんですね。飲食店って難しいです。でも僕、料理が好きなんです。コロナが収まって、もう一度チャレンジしたいなと考えています。そのためにも、今は準備期間として、一から勉強していきたいと思います。」

飲食店開業・閉店のご相談はテンポスへ

いかがでしたでしょうか。物件選びの大切さ、販促活動の大切さが伝わってくるインタビューでしたね。物件探しや販促活動でお困りの方は、テンポスにご相談ください。飲食店専門のスタッフがお客様の10年先も続く店作りのお手伝いさせて頂きます。

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