飲食店の開業準備で、ついつい後回しにしがちなのが食器類の準備です。開業日間近になって、慌ててメモを片手に買い揃えていかれるお客様も少なくありません。今回は、イタリアンの業態で開業をする場合に必要な食器類の話をしたいと思います。
100均食器と業務用食器の違い
最近では100均で売られている食器もバラエティに富んでおり、安価で買い揃えられることから、お店での食器もそれらで賄おうと考えられるお客様もいらっしゃいます。が、そもそもご家庭で使われることを前提とした100均食器と、業務用の食器とではその耐久性に大きな違いがあります。
ご家族が1日に1度使うかどうかのものと、1日に何度も洗浄しながら使いまわしていくそれでは、求められる耐久性は全く違います。購入時の金額が安くても、すぐに買い替えなければいけない事態が続くようでは、長い目で見ると「安物買いの銭失い」になりかねません。また、お客様が直接手を触れ、口にするものですから、安全面から考えても業務用食器を使用されることをお勧めします。
テンポスでは、提携しているさまざまな業務用食器メーカーの商品を、実際に店頭で見て、触れて選ぶことができます。店内にない商品も、たくさんのカタログから選んでいただき、取り寄せることも可能です。
まずはメニュー作り
飲食店開業あるあるなのですが、メモを片手に食器をカートに入れているお客様の、そのメモを見ると「大皿〇枚、取り皿〇枚、スープ皿〇枚…」と書いてあったりします。とりあえず必要と思われる食器を買って、その後にメニューを考えて、買った食器に当てはめていくというスタイルをとる人が多いのです。しかし、これではどうしても買い忘れや買いすぎが起こります。結局イメージに合わずにほとんど使わない食器が出てきたり、買い足さなければいけなくなったり、無駄も多くなります。
まずはメニューを決め、そのメニューをどのように提供するかを考えて、必要な食器やその枚数を決めてください。シンプルな白食器がいいのか、高級感のある柄物がいいのか、個性的な形状のもので視覚から楽しんでもらうのか、など、すべては出す料理を決めてから考えるべき話です。
お勧め食器のご紹介
イタリア料理というと、パスタ、ピザ、グラタン、ドリアなどが思い浮かびますよね。一般的にメインとなるのはパスタでしょうか。パスタにも、最近はバリエーションが増えていますので、ソースを絡めるタイプとスープタイプでは合うお皿が違います。絡めるタイプには楕円形のお皿、スープタイプには深さのあるものをお勧めします。リムスープ皿(9インチ)やプラター皿(26cm)、楕円深型プラターなどを選べば、パスタだけでなく、肉や魚の料理、スープ用にも使えます。
取り分け用の小皿やパン皿、デザートには、7.5インチのリム皿、フルーツ皿などがお勧めです。使用頻度の高いお皿ですので、極力安価なもので数を用意したいです。
グラタンやラザニアなどのオーブン料理には、耐熱用の食器を用意してください。丸グラタン皿、ラザニア皿がスタンダードです。
ピザには、ピザ皿もいいのですが、趣向を変えて木製のボードタイプはいかがでしょう。
お皿の色にもこだわれ
イタリアンレストランの食器は、フレンチレストランや洋食屋など比べるとカラフルなものがよく使われます。イタリアンはオリーブやトマトをよく使いますし、色彩豊かな料理が多いのが特徴です。色とりどりの食材に合わせて、カラフルな食器を使って、見た目も楽しませようと考えるシェフが、イタリアンには多いのかもしれません。メニューを考えてから、使うお皿を選ぶからこそ、そんな視覚でも楽しんでもらえる一皿ができるのです。
必要な枚数と食器のために用意するべき予算は?
いざ食器を揃えるとなると、さて、何枚くらい用意すればいいのだろう? と悩みますよね。私たちが、お客様にアドバイスするときは、取り皿などの使用頻度の高いお皿は席数の2倍以上、メイン料理などのお皿は、席数×1~1.5倍程度を目安にするように言っています。
金額は、お皿のグレードにもよりますが、ざっくりで客席数20席程度なら10~13万円ほど、40席程度なら20~25万円ほどと考えればいいでしょう。
まとめ
食器は厨房機器や調理道具などと違い、直接お客様が目にし、手で触れるものです。お店の印象を左右する重要なアイテムの一つです。開業間際に慌てて選ぶのではなく、時間に十分余裕を持って、メニューと照らし合わせながらじっくり選んでいただきたいです。