日本ワインのブームもあり、最近は和食店や居酒屋でもワインを提供する店は増えています。しかし、これまで扱っていなかったワインを提供するとなると、とまどうことも多いと思います。特に、ワイングラス。いろいろな形状がありますが、どんなワインにどんなグラスを合わせればいいのか、ワインに詳しくないと迷ってしまうのも当然です。
ワイン文化は、ヨーロッパを中心に長い歴史がありますが、その中でワインの種類と、グラスの形状の相性は、ある程度の決まりごとが生まれています。
今回は、ワイン初心者でもよくわかるワイングラスの基礎知識をお伝えしたいと思います。
ワイングラスの形状
ワイングラスは、本体部分「ボウル」と、持ち手となる脚の部分「ステム」、グラス全体を支える土台「プレート」から成ります。そして、飲むときに口を付けるふちの部分を「リム」と呼びます。
この「リム」が薄いほどワインの口当たりが滑らかに感じられるといわれます。ワインの味を決める重要な部分です。
ワインは、産地やぶどう品種によって異なる繊細な香りが、それぞれの個性として魅力を放ちます。ワイングラスの本体、ボウルと呼ばれる部分の丸みを帯びた形状は、ワインの持つ香りを際立たせるためのもの。時間の経過による変化や、空気に触れる面積の大小、滞留させる程よい空間など、ワインの放つアロマを最大限に堪能できるように、計算されつくしたデザインなのです。
飲み口の大小と酸味の関係
飲み口が小さいワイングラスでワインを飲むときは、グラスを少し傾けただけではワインが口に入ってこないため、大きく傾けます。結果として、ワインが直線的に早く舌の先から奥へ流れていきます。飲み口が大きいワイングラスでワインを飲むときは、グラスを少し傾けるだけでワインがゆっくりと舌の上に広がります。飲み口の大きさが変わると、ワインが、舌の上のどこを、どれだけの量・スピードで通るかが変わるということです。それによって味の感じ方が違ってきます。
舌はその部分によって、特定の味に対する敏感さが違うといわれています。舌の先端は甘味を感じやすく、舌の付け根に近い両側では酸味を感じやすいと言われています。舌の各部分とワインが接触した状態で、味わいが違って感じるのですね。酸味が強いワインには飲み口が狭いワイングラスが、酸味が穏やかなワインには飲み口が広いグラスがすすめられています。
ボウルの大きさは香りで決める
次に、ボウルの大きさと香りの関係です。小さいボウルのワイングラスは、ワインの香りがそのまま伝わりやすく、ワイン本来の香りを楽しめます。大きいボウルのワイングラスでは、ワインが空気に触れる面積が広くなり、複雑な香りもしっかりと引き出せます。ボウルが大きいのは、ブルゴーニュ型と呼ばれる熟成赤ワイン用のグラスです。香りの変化を楽しむワインには大きいワイングラスが、そのままの香りを楽しむワインには小さいグラスがすすめられています。
ワイングラスの種類
赤ワイン用のワイングラス
ボルドー型 一般的なワイングラスよりも大きめに作られているのが特徴です。ボウル部分は、縦長でチューリップのような形状をしています。渋みの強い赤ワインには、ボウルの膨らみ部分の直径と口径の直径の差が少ない方が、タンニンがまろやかに感じられるとされています。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローから造られる赤ワインに最適です。
ブルゴーニュ型 ボルドーグラスに比べると、ボウルの部分に、より丸みがあります。膨らみが大きく飲み口がすぼまった直径差が大きいグラスは、酸味と風味が上品に感じられます。ブルゴーニュワインの芳醇な香りを引き出しやすく、ピノ・ノワールから造られる赤ワインにぴったりです。
白ワイン用のワイングラス
万能型 テイスティンググラスを、そのままやや大きくしたような形状で、汎用性の高いワイングラスです。中庸な形なので、幅広いワインに対応できます。
モンラッシェ型 白ワインの産地 モンラッシェの名のとおり、繊細な果実味と柔らかな酸味を持つ、シャルドネから造られた白ワインに最適なワイングラス。ボウルが大きく丸みが強いため、香りを引き出しやすい形状になっています。
スパークリングワイン用のワイングラス
フルート型 シャンパーニュグラスという呼び名の方が聞きなれているかもしれません。繊細な泡立ちを長く楽しむため、幅が細く、高さのある形状のワイングラスです。炭酸を抜けにくくする作用もあります。
ワイングラスを選ぶポイント
お酒の中でもワインはとくに種類が多く、とても奥が深いもの。より楽しむためにはワインの味だけでなく、グラスの選び方にもこだわりたいところです。
美しいカッティングや個性的なデザインのワイングラスも魅力的ですが、ワインの魅力をもっとも堪能できるのは、やはり無色透明のクリスタル製です。ステム部分は、細くある程度の長さがあるものが指になじみ、持ちやすいでしょう。そして、最も重要なのは唇が直接触れるリム部分。ワインの温度や口あたりを感じられる薄いクリスタルが、上質なワイングラスの条件だと言えます。
また、大きすぎると取り回しが不便ですし、小さすぎるとワインを回すことができなくなり、香りにも影響が出ます。ワインはもちろん飲み物なので、飲みやすいということも最大のポイントです。数脚あるうちの1つに、テーブルを飾るための装飾や色が施されたグラスがあっても良いのですが、まずは透明なワイングラスを揃えることをお勧めします。
テンポスでは、気軽に楽しむことができるお手頃な価格のワイングラスから、銘醸ワインにも耐えうる上質なワイングラスまで幅広く取り揃えています。また、店舗にないものでも、たくさんのグラスメーカーのカタログからお選び頂き、お取り寄せすることも可能です。ぜひスタッフまでお気軽にご相談ください。