今さら聞けない中華鍋「基本のキ」、こっそり教えます

中華鍋は、実は中華料理に限らず何にでも使える万能鍋です。無人島に何かひとつ持っていくなら、というよくある問いに、「使い勝手のいい中華鍋」と答えた料理人を知っていますが、なるほどと思ったものです。これひとつで、炒め物はもちろん、揚げ物、焼き物、煮物、蒸し物、何でもできてしまいますからね。

今回のテーマは、その中華鍋。今さら聞けない中華鍋の基本のキ、業務用厨房用品総合商社の中でも、特に中華料理道具に力を入れている株式会社カンダさんにこっそり教えていただきます。

中華鍋の種類

中華の料理人以外は、もしかすると意外と知らないかもしれません。中華鍋には大きく分けて2種類あります。北京鍋と中華鍋。持ち手の数や形が違うだけではないのですよ。

北京鍋

持ち手が一つの片手鍋です。フライパンのような棒状の持ち手がついています。片手で持って調理できますので、少ない量の調理には向いています。また、鍋底のカーブが深いので、炒め物、焼き飯などの料理に適しています。

中華鍋

両手に持ち手の付いた両手鍋です。広東鍋や上海鍋と呼ばれることもあります。北京鍋に比べて鍋底の丸みが浅く広いのが特徴です。丸みの深い北京鍋より調理面積が広くなるため、食材にムラなく均一に火が通ります。蒸し料理や揚げ物にも適しています。おすすめ料理は酢豚や唐揚げなど。

製造法の違い

大きく分けて打ち出し式とプレス式があります。製造法の違いで、品質や性能、価格などが変わりますので、業態や主な料理の内容などに合わせて、選ぶことをお勧めします。

プレス式の特徴

鉄の板を機械で一気にプレスして、一瞬で鍋の形に成形します。強度があまり強くないので、本格中華のお店では変形などの可能性があり、不向きですが、ラーメン店や居酒屋などで簡単に調理して提供する分には、価格も安価でおすすめです。

また、株式会社カンダさんのラインアップには、片手の北京鍋のみですが、通常1.2mmの厚みを1.0mmに薄くした軽量タイプもあるそうです。中華鍋は、鍋ふりで手首を痛めてしまったり、重さが負担になっているという人は多くいると思います。その負担を少しでも軽減できるように、限界まで薄くした商品で、女性の方でも扱いやすいと評判です。

打ち出し式の特徴

打ち出し式とは、その名の通り、ハンマーで叩いて打ち出して形を作っていきます。めちゃくちゃ叩きます。その数、なんと数千回! 丈夫で熱伝導もよく、表面を叩くことによってできる凸凹のおかげで油なじみも良く、こげ付きにくくなります。ひとつずつていねいにハンマーの位置をずらしながら調整して打ち付けており、場所によって厚みを変えて、熱伝導を極限までよくしています。ですから短時間の調理で美味しい料理を作ることができます。多くの本格中華料理店で愛用されています。

なぜ鉄製品をお勧めするのか

今回は、株式会社カンダさんのおすすめということで、丈夫で熱伝導のいい鉄製の鍋をご紹介させていただきました。

なぜおすすめなのかを聞いてみました。なんと、鉄の融点は1000度以上なのだそうです。そのためどんな高温にしてもびくともしません。チャーハンなどを作るときに、ベチャッとなってしまうのは、鍋の温度が落ちてしまい、水分が蒸発してくれないからです。料理番組などで、フライパンでチャーハンを作るときは、煽らずに火から離さずかき混ぜるだけの方がいいと言う先生が多いのは、家庭用コンロとフライパンでは高温を維持できないせいです。

その点、鉄製の中華鍋は熱伝導が良いため、火から鍋を離しても鍋の温度は下がらず高温のままです。短時間でパッと調理することができ、美味しく仕上がるのです。

しかし、デメリットもあります。まず重く、錆びやすい。空焼きや油ならしなどの手入れも面倒です。手入れさえすれば、長く使えることは大きなメリットだとは思いますが、手入れが不要なタイプも商品としてあるそうです。鍋底が平らで、IHにも対応できるものなどもあるそうです。お店の事情や、業態などに合わせて、使いやすい商品を相談してみるといいのではないでしょうか? お気軽に店舗スタッフにお問い合わせください。

サイズの選び方

一般的には、北京鍋は27~39cm 、中華鍋は27~60cmの範囲でサイズが用意されています。初めて開業する方などからは、どのサイズを購入すればいいのかわからないと言う声もよく聞きます。

一般家庭向けですと、コンロの五徳のの大きさが30cm弱のものが多いので、これを超える大きさの鍋はうまく火が通りません。プロでも同じ。コンロの大きさに合わせた大きさを選んでください。

一度に作る分量もサイズ選びに関係してきます。2人分までなら27cmのものを選ぶといいです。4人分なら30cm、5人以上の場合は33cm以上をおすすめします。中華鍋の場合は、大きく振りながら調理することが多いので、食材が溢れないように少し大きめにサイズを選ぶのがポイントです。

また丸底の鍋は、そのままでは安定感がありません。そんな時は中華五徳をおすすめします。

終わりに

みなさま、いかがでしたでしょうか?

どんな料理にも対応してくれる中華鍋。手入れが難しい、重いなど、扱いが大変な面もありますが、上手に付き合えば、長く使えて、美味しい料理が作れる万能な調理道具です。この際、お気に入りの中華鍋を、ひとつ見つけてみてはいかがでしょう。私たちが、そのお手伝いをさせていただきます。

取材協力:株式会社カンダ