飲食店をオープンするにあたって、当たる壁と言えば、厨房レイアウトです。
間違ったレイアウトにしてしまうと、料理の提供が遅くなってしまう事に加え、料理人が料理を作る際にストレスが溜まる可能性があります。
レイアウトは内装工事後や厨房機器搬入後に変更をしようとしても簡単に変更できません。
その為、レイアウトの打ち合わせはかなり大事な作業となります。
テンポスバスターズでは全国60店舗、北は北海道から南は沖縄まで店舗があり、そこでは無料で図面のレイアウト図を作成しております。是非お気軽にご相談くださいませ!
熟練のスタッフが蓄積された知識を元に図面を作らせていただくのですが、一部、大事なポイントを3つご紹介させていただきます。
動線を意識する
動線を意識する事はレイアウトを決める上でもっとも大事なポイントとなります。
厨房の動線といっても色々な動線があります。
料理を作るまでの動線、下膳の動線、仕入れの動線などなど。
この動線が被ってしまうと、人と人がぶつかってしまったり、通れなくなってしまい、結果、お客様への提供がおそくなり、お客様の不満につながってしまう原因になってしまいます。
また被ってなくても、よく使う材料を取り出す冷蔵庫と調理するコンロが遠くて無駄な1歩、2歩があったりしても、遅くなってしまう原因になるので、全てに厨房の行動を考えながらレイアウトすることが大事です。
人の動線以外にも、食材の動線、お皿の動線などもあります。全ての動線が被らず、理にかなったレイアウトにすることが大事です。
ガス、水道(排水)、電気、ダクトの位置をチェックする
新築以外の厨房レイアウトは、既存のインフラの位置を事前にチェックしながらレイアウトする事が重要です。水道・ガス・電気・ダクトの使用できる位置を事前にチェックしておくことで、冷蔵庫や洗い場、ガスを使用する調理場の位置をある程度決めることができます。
既存の排水の位置とレイアウトの位置が違うことで、工事費が100万以上かかってしまった・・・なんて事もよくありますので、費用を抑えるという面でもこのポイントはかなり重要になってきます。
メニューからレイアウトする
ここではレイアウトの観点だけでみていきます。(機器選定は別の機会で)
メニューの中でも特に大事なメニューが主力メニューです。
主力メニューとはいわゆる看板メニューでよく売れる利益率の高い商品です。
その主力メニューをいかに効率よく作って回すことで、店の利益にも直結していきます。
例えばラーメン屋の主力メニューはラーメンですよね。ラーメン屋において餃子は主力メニューでは無いですよね。ラーメンを作るゆで麺機と餃子を作る餃子焼機器、どちらが動線の大事な部分におきますか?もちろんゆで麺機ですよね。
よく頼まれる商品だからこそ早く回さないといけないので、主力メニューを作る機器から逆算して考えてみるのも一つの手です。
保健所チェックで必要な厨房機器がある
厨房のレイアウトをするにあたって、まず初めにすることは、機器の選定です。
大きく4つに分けると、
・冷機(縦型冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵コールドテーブル・ショーケース等)
・熱機(ガスコンロ・焼物器等)
・作業設備(作業台・シンク・収納関係等)
・洗浄機器(食器洗浄機・シンク等)
があります。
このなかでも、保健所の許可を受けるために、どの業態でも必ず、下の3点が必要となります。
冷凍冷蔵庫(庫内温度がわかるもの)
席数やメニューに応じて、必要量が保存できる容量を満たしたサイズのもの。
シンク(2槽以上)大きさに関しては自治体により差があるので、各自治体の保健所に確認になりますが、一般的には、「幅450㎜、奥行360㎜、深さ180㎜以上の槽のシンクが2槽以上あること」とされています。食材の洗浄と、食器の洗浄を別々に行えるようにとされています。自治体によっては、食器洗浄機があれば、1槽とみなされることもあります。
食器棚(扉付きのもの)
一番見落としがちな厨房機器です。自治体によっては、簡易な扉でいい場合もあるようですが、基本的には食器が収納でき、衛生上扉が閉まる、食器棚を1台以上必要とします。床に置くタイプのものや、壁につける吊戸棚などがあります。
ガステーブル(ガスレンジ)
調理するのに必要です。卓上の1口コンロから、オーブン付きの5口のコンロなど、メニューや業態にあわせて選定します。
ガステーブルとオーブンレンジが一体化した「ガスレンジ」について下記のブログで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
製氷機(1日の製氷量が、席数の2.5倍程度のキロ数の物)
酒類の提供があれば、あると便利です。今は生ビールに加え、ハイボールなども多く飲まれるため、少し大きめの容量のものを入れられるのであれば、安心です。
作業台・コールドテーブル(作業スペースとして)
動線として、下処理や盛付をする場所には作業台や、台として使用できるコールドテーブルが必要です。業務用であればステンレスでできているので、洗浄もしやすく衛生的です。レイアウト上、隙間があるところにも、作業台を設置すれば、物を置くスペースが増えるので、便利ですし、隙間がないことで防虫対策やホコリがたまったり、ゴミが下に落ちたりすることを避けられ、衛生的です。
以上、この6機器を用意すれば、小さい店舗でしたら厨房を作ることができます。これに、業態やメニュー・席数によって必要な機器を追加していきます。
席が多い店なら
席数が多い(30席以上で宴会も受ける)店舗であれば、スチームコンベクションがあれば大量調理も可能ですし、食器洗浄機がないと洗い物も回りません。キッチンとホールが分かれていれば、作業スペースを確保するために作業台(もしくはコールドテーブル)を多めに必要とします。キッチンとドリンクを作るパントリーが独立していれば、製氷機やシンク・リーチインショーケースなどが必要となります。
席数が少ない店なら
逆に、席数が少なく、ワンオペで回すような店舗であれば、スペースも狭いので、最初に挙げた厨房機器のみ(食器洗浄機も手洗いで対応できるかもしれません)で充分かと思います。
以上のようなことに注意し、必要な機器を書き出していきます。
一人で考えていても、思いつかないこともあるかと思いますので、機器選定に迷われたときは、ぜひご相談ください。
レイアウトを考える順番
レイアウトの順番としては、次のように行います。
- 厨房の区画を決める
- 動線を考えてゾーニング(調理スペース・作業スペース・洗い場・ストック場所の大まかな位置を決める)する
- 必要な機器を並べていく
これをするにあたって、動線が重要になってきます。飲食店にとって、料理が提供しやすい、ということは、とても大切なことです。無駄な動きがなく作業できることで、お客様へのサービス提供時間の短縮になり、売上アップ・顧客満足につながります。
基本的な厨房内の流れとしては、
- 冷蔵庫から食材を取り出す
- 作業台に立ち、下処理をする
- コンロ周りで調理
- 盛り付け
- お客様へ提供
です。
他に、独立してパントリーを設ける予定のある飲食店であれば、ドリンク提供の動線も考えます。
この距離を、最短距離で・且つほかの従業員と動線が被らないような設定をすることにより、無駄な移動がなくなり、効率の良い作業ができる厨房になります。
物件の形も様々ですので、このレイアウトが正解!というものはありませんが、テンポスでは、お客様のお店の従業員数や、オペレーションのしかたを聞き、一番動線の良いレイアウトを一緒に考えさせていただいております。
厨房レイアウトは、開店準備のどのタイミングで行うか?
厨房レイアウトを考え始めるのは、いつの時点がよいか。これは、物件が決まってすぐ取り掛かることをおすすめします。スケルトンの場合と、居抜きの場合で少し異なってきますので、説明します。
スケルトンの場合
スケルトンから飲食店を作る場合、1から厨房レイアウトが決められるため、自分の納得がいく厨房レイアウトを作ることができます。いつレイアウトを考えたらいいのかは、飲食店開業の流れとして、下のスケジュールを用いてお話ししております。
この中で、厨房レイアウトは、3カ月前~2カ月前の、工事開始までに決定しなければなりません。厨房機器は、電気・ガス・水道を使用するため、内装工事にもかかわってくるので、内装業者との打ち合わせも必要だからです。
電気やガスは、機器により必要な容量が決まっています。機器を最初に決定せず、大体で決めてしまった場合、物件に来ている容量が足りていないことに後で気づき、使用したかった機器が使用できない、ということもあります。また、業務用の電気の厨房機器は、家庭で使用する100V の他に、動力電源を必要とするものもあります。あとから使いたい、という希望が出てきても、使えない・使うのに高い金額の工事が追加になることもあります。
水道についても、レイアウトを先に決めて、給排水工事の位置を決める必要があります。シンクを置く場所には給水と給湯・排水がないと利用できませんし、製氷機や食器洗浄機についても同様です。また、たまに見落とされるのですが、冷蔵庫も排水が出ます。冷蔵庫の下に排水を設けないと、床に水が流れ、濡れてしまいます。
このような理由から、内装工事の打ち合わせの際に、必要機器を伝え、レイアウトを考え、工事の着工前には完成させることが必要です。
この順番をしっかりしておくことで、工事が始まってからの変更が避けられ、余分な費用が掛かりませんし、最初にきちんと決めておくことで、機器にかかる費用も把握できます。
テンポスでは費用を抑えるために中古の厨房機器を提案いたしますが、すぐに在庫がないこともあり、工事期間中に探すという時間もできます。
居抜き物件の場合
居抜き物件の場合は、もともとの業態と、これから始められる業態により様々です。
費用を抑えるために、居抜き物件を探すのであれば、これから始めたい業態と同じ業態だった物件を選ぶことをお勧めします。もともとラーメン店だった店から、ラーメン店にする場合は、機器が使用できればそのままでお店が始められるかもしれません。この場合は、厨房レイアウトは必要ありません。
居抜き物件で厨房レイアウトが必要なのは、業態が違った場合です。例えば、カフェから居酒屋にしたい、とか、居酒屋からスナックにしたい、などの場合は、使用する厨房機器の種類が増えたり、オペレーションが変わってきたりします。
レイアウトの方法に関しては、2種類あり、それぞれ説明します。
電気・ガス・水道の設備の位置を再利用する場合
この場合は、内装工事と並行して進めることができます。設備の位置の移動をせず、容量も増やさずに、物件に来ている電気・ガスの容量の中で機器選定をするため、工事が必要ないからです。容量が決まっているため、使用できる機器に限界があるのがデメリットですが、設備の工事をしなくていい(接続工事は必要ですが)ので、費用が抑えられます。
レイアウト方法に関しては、もともとガス機器が置いてあった場所に使用したいガス機器を置き、給排水がある場所に製氷機を置いたり、シンクを置いたりします。
動線に関しては、できるだけ動きやすいようにレイアウトしていきますが、もともとの設備を利用するので、思うようにいかないこともあります。
ただし、機器を増やし、容量が増えたり、レイアウトを変えて設備工事を必要としたりする場合は、スケルトンの場合と同様に、事前に内装業者と相談し、工事着工前に決めておく必要があります。
オペレーションやメニューの変更に伴い、レイアウトを変えてしまう場合
居抜きの物件のそのままの設備だといいオペレーションができない場合、費用は掛かりますが、思い切ってかえてしまうのもおすすめです。新しいお店をするのは自分ですし、自分のお店にとって機能的で効率的なのが一番だからです。
この場合は、スケルトンの場合と同様、物件が決まったら、すぐに厨房レイアウトにとりかかります。厨房と客席の位置は決まっているため、その中での対応にはなりますが(物件や予算によっては、厨房を広げたり、客席を広げたりできるかもしれません)、自分の必要な機器を、効率的な動線でレイアウトしましょう。
終わりに
以上のように、ご説明しましたが、厨房のレイアウトに迷われましたら、是非テンポスにご相談ください。物件に同行し、オペレーションやメニュー構成を聞きながら、一緒に考えます。内装屋さんとの設備の打ち合わせ等、専門的でわかりにくいことも多々あります。ここに関しては、テンポスが内装屋さんと連絡を取って打ち合わせし、ご対応させていただくこともでき、お客様にはその間にほかの準備を進めていただくこともできます。
テンポスでは、厨房担当1人当たり、ひと月に5~10件/月ほど、新店舗の開業のお手伝いをさせていただいています。年間にすると約60~100店舗以上もの開業準備のお手伝いをしています。厨房レイアウトも、経験によりお伝えできるノウハウがたくさんありますので、
物件が決まった(契約前のお見積りでも大歓迎です)時点で、ご相談ください。