多くの飲食店にとって、必需品と言っていい厨房機器がガスレンジではないでしょうか? よく使うものだからこそ、購入時は慎重に選びたいものです。失敗しないために、どんなところに気をつければいいのか、なにを基準に選べばいいのか、たくさんの飲食店の開業をお手伝いしてきた経験から、そのポイントをわかりやすくご紹介したいと思います。
業務用ガスレンジとは?
業務用ガスレンジとは、ガステーブルとオーブンが合体したもののこと。ガステーブルとは、複数口のあるガスコンロのことで、大抵の場合はそのガステーブルの下にオーブンがついています。ガスコンロで調理しながら、下部のオーブンでも調理することが可能です。
ガスレンジ導入のメリット
作業効率の向上
ガステーブルとオーブンが合体していることで、複数の料理を同時進行できます。そのため、ガステーブルだけよりも、大幅に作業効率が向上します。もちろん、ガステーブルとオーブンを別々に導入しても同様のことができますが、一体化していることによって厨房のスペースをより有効活用できます。同じ場所にあることで、作業もしやすくなります。
ガスレンジの種類と選び方
「外管式」か「内管式」かで選ぶ
ガスレンジには、外管式と内管式の2種類があります。
「外管式」は、点火棒(チャッカマンみたいな役割)を用いて点火をするスタイルで、特徴は、ガスの出る量を調節して火加減の調整ができること。手前にあるガス栓のコックで、火力の調整をお客様自身でしますので、慣れていないと手間かもしれません。コンロごとに五徳がついています。
「内管式」のガスコンロは、つまみで点火して火力を調整します。家庭用コンロの業務用バージョンと考えればわかりやすいでしょう。オーブンの温度調節はできないものが多いのですが、たとえばマルゼン(メーカー)の内管式のものは、すべてオーブンの温度調整機能がついています。庫内を気にするのが大変な人は、温度機能調整があった方がいいと思います。100~300度の温度調整が可能です。また、コンロのところには、全面に五徳がついているので、外管式とは違い、火のところ以外にも鍋が置けて便利です。
オーブンかコンベクションオーブンかで選ぶ
さらに、内管式の場合、普通のオーブンかコンベクションオーブンかを選ぶことができます。これは庫内にファンがついているか、ついていないかの違い。熱風を対流させることで、高温でムラなく焼き上げられるのがコンベクションオーブン。庫内に複数以上の料理を入れて焼くには、コンベクションオーブンでないと料理ごとに焼け具合が違ったりしますので、大量調理をしたい店は、こちらを選ぶべきでしょう。温度設定ができ、タイマー機能もついていますので、250度で10分間焼いた後、カリっと仕上げるために300度で5分焼くなどという設定ができ、管理がしやすいのも特徴です。
コンロの口数とサイズで選ぶ
コンロの口数は、多ければいいというわけでもなく、料理する人が何人なのか、調理するメニュー、席数など、多くの要素を考えて決めるべきです。一人で料理するなら、3口か4口あればいいと思いますが、2人以上になると、それでは少ないでしょう。一人でも、同時にソースを作ったり、他の料理を同時に進める必要がある業態なら、コンロは3口では足りなくなるかもしれません。基本的には、席数によって料理の出数が決まるので、その出数とオペレーションに合わせて、決めるのが良いと思います。
またコンロの口数が多くなると、ガスレンジのサイズも大きくなります。例えば3口のコンロの場合の幅は900mmなら、4口になると1200mm、5口になると1500mmといった具合に増えていきます。奥行きも、それに合わせて増えますので、厨房の広さに合わせることも大切です。
ガス種で選ぶ
都市ガスか、プロパンガスかを確認することも忘れずに。合わないと使用できませんよ。
カタログのサイズと違う!外管式のガスレンジ
ガス種とサイズ
よくある失敗の一つが、カタログのサイズを見て購入。でも実施到着したのは、奥行がカタログよりも長いということ。実はこれ、 外管式の場合、外に出ている配管があるので、カタログに記されているサイズより、プラス10センチ程大きいのです。そのため、通路の狭い飲食店は、背中合わせで、圧迫感を感じることがあります。置く場所を想定して、幅と奥行きのサイズも計っておきましょう。
次に、失敗やすいのが、ガス種が違うということ。都市ガスなのに、プロパンを選んでしまった・・・という飲食店様、いがいと多いんです。インターネットで買うときに、間違えて買ってしまった、ということもあります。
あとは、テンポスで相談してみてください。さまざまな店舗の開業を支援してきた経験がありますので、どんな店にどんなガスレンジが向いているのか、逆にどんなガスレンジがダメなのか、情報が蓄積していますから、参考になるアドバイスができるはずです。その際に、業態や調理体制、サービス方法など、なるべく具体的にしておいていただけると、より的確なアドバイスができます。
ガスと電気の配線も
置く予定の場所に、ガスの配管が可能かどうかの確認は大切。もっとも、これは内装業者も想定して設計すると思うので、よく打ち合わせをしておけば問題ないでしょう。忘れがちなのは電気。点火に電気を使っていたり、コンベクションオーブンのように操作パネルがあったり、電気も必要なガスレンジも多くあります。電気の配線も確認しておく必要もあります。
ガスレンジ導入にかかるコスト
テンポスの売れ筋の場合、ガスが3口なら外管式で、だいたい13万円。内管式ですと18万5000円(これが一番人気)。内観式のコンベクションオーブンになると25万円くらいします。このように、外管式か内管式、コンベクションオーブンかによって、金額が5万円ずつアップしていきます。もちろん外管式は定番商品ですし何よりお手頃価格ではありますが、「アルバイトでも扱えるようにしたい」「オーブンはコンベクションにしたい」という場合には外管式を選ぶと、失敗してしまいますので、気を付けてください。
ガスレンジに火がつかない!なんで??
テンポスへの問い合わせで多いのが、「火のつきが悪いんだけど故障だろうか?」というもの。これ、ガス機器全般で言えるのですが、最初は火のつきが悪いものと思ってください。ガスレンジとガス管を接続した直後は、空気も一緒に配管に入っている状態です。だから、なかなか点火しないんです。ただ何回もやると空気がなくなって、すぐにつくようになります。心配入りません。その他、トラブルや点検は、テンポスにご相談ください。
まとめ
まとめると、性能やサイズ、厨房においた時の使い勝手を想像して選ぶことが大切で、どんな料理を何人分くらい、どのくらいの時間で作るのか、あるいは何人で調理するのかなど、オペレーションについても頭に入れておいた方がいい、ということになりますね。
また、これまで述べてきたチェックポイント以外にも、火力の強さも大きな判断材料になると思います。メーカーのショールームなどで、実際に使ってみて体感してみることもお勧めします。東京ガスなどのガス会社でも、業務用機器を置いているショールームもあるそうです。そして、何よりテンポスに相談することが、後悔しないガスレンジ選び最大のコツです。
ガスレンジについて教えてくれた人
テンポス鹿児島店 山下翼